学習意欲を高めるモチベーションとは一体何なのか
一言で学習意欲を高めたいと言っても、何もないところからは簡単にモチベーションを上げることはできませんよね。
では、そもそもどういったことがモチベーションになるのか、ここで少し掘り下げてみたいと思います。
学習意欲を引き出すのは「内容の重要性」と「功利性」
モチベーションのことを日本語では動機づけと訳します。
教育心理学の分野では、学習意欲を引き出す要因を、長年にわたって報酬や賞賛、叱責といった外部から刺激される「外発的動機づけ」と、学習する活動や行動自体が楽しく目的である「内発的動機づけ」の2つに分類しています。
これを拡張させて、東京大学大学院教育学研究科長の市川伸一氏は、学習動機観に基づいた研究を進め、下記の6つの志向モデルを考えました。
1.充実志向
学習すること自体を楽しんでいて、それをやっていることで充実感が得られます。
内容重視なので学習することによって何か得するようなことがあるか等とは考えません。
2.訓練志向
知識を蓄えて、知力を鍛えることが動機になっています。
学習することによって何かしらのスキルが身につくものにやりがいを感じます。
3.実用志向
将来の自分の仕事や生活に生かせるから学習するという考え方です。
仕事で使える、生活が豊かになるなど、内容が役に立つ内容でないとやりがいが得られません。
4.関係志向
学習内容よりも「誰と学ぶか」に関心が高く、「先生の話が面白いから」「みんながやっているから」というように、他者との関わりを理由に学習することです。
5.自尊志向
自分のプライド、「負けたくない」という競争心や「結果を出して良く思われたい」といった気持ちが働いた動機のもとに学習することです。
6.報酬志向
外からの確実な報酬を意識しているもので、「昇進試験に合格する」「テストでいい点を取ればご褒美がもらえる」等の理由で学習しています。
目的が報酬を獲得することにあるので、学習している内容そのものにはあまり興味がありません。
学習の対象がどの志向の動機によるものなのか意識してみましょう
上記の6つの動機づけは、どれを高く持っていればよいとか、どれを持っているとよくない等という類のものではありません。
自分が行う学習の対象によってそれぞれにどの志向が高くなるかというのは、自分の性格やシチュエーションにより異なります。
例えば、会社での昇給の条件のための資格の学習なら報酬志向が高くなるでしょうし、自分の趣味に関連するような学習なら充実志向が高くなるでしょう。
大切なのは、学習の動機づけには複数のタイプがあることを知り、学習対象に合わせて各種の動機づけのスイッチを使い分けられるようにセルフマネジメントしてみることです。
「この学習はこういう動機でやる」とはっきり自分で意識できれば、目的意識をもって効率よく学習をすすめることができたり、学ぶことを心置きなく楽しむことができるでしょう。